小さな会社や個人事業者が取るべき小さな会社の戦略を一言で表現するならば、
「最小の資金で競争に打ち勝つ為の戦略」
ということになります。
最小の資金で競争に勝つ
世の中には、多くのマーケティング手法が溢れています。
しかし、その多くが、大きな会社の為の戦略でありマーケティング手法なのです。
これを、小さな会社や個人事業者が真似をすると、効果がないどころか、集客コストの増大で経営が悪化していくことになります。
小規模事業者である小さな会社や個人事業者は、そもそもが資金力がありませんから、他と同じような事をしていては、勝つことはできないのです。

小さな会社や個人事業者は、その小さいという利点を徹底的に生かしていくことが必要になるのです。
その為には、小さな会社や個人事業者専用のマーケティングの考え方が必要になります。
これを、まとめたのが『小さな会社の戦略』なのです。
小さな会社の戦略2つの軸
小さな会社の戦略は、基本的に2つの軸から成り立ちます。
一つ目は、大きくすることを目指さないで、小さいという利点を徹底的に追及することです。
多くの会社が失敗する理由は、大きくしようとするところから始まります。大きくするためには、借り入れをし、設備投資をすることになり、その体制を維持していく為に、無理してお客さんを集める必要があります。
多くのお客さんを集めるということは、多くのお客さんのニーズに合わせることになります。それはつまり、商品がコモディティ化して、その結果、価格競争に巻き込まれることになります。

価格競争に巻き込まれると、あとは、熾烈なシェア争いとなり、1人だけが勝ち残るサバイバルとなります。多くの会社が、拡大を目指し、全国に数百店舗を出店して、そして、潰れていきます。
会社やお店を大きくしようと思った時に、結局、この無理な拡大サイクルにハマって抜け出せなくなっていくのです。
拡大するメリットはあまりない
では、会社を拡大することによる社長としてのメリットは何でしょうか?
まずは、社会的にかっこいいということがあります。
大きな会社の社長は、やはりステータスです。
マスコミに取り上げられたりして、ちやほやされます。
芸能人と結婚できるかもしれません。
しかし、おそらく経営者の収入的には、大きくても、小さくてもそれほど変わることはありません。
資産は、株式を上場すると、大きくなりますが、それを売って現金にできるわけではありません。絵に描いた餅です。
自分の会社の株を売って現金にするということは、本末転倒なわけです。

もちろん、アメリカの会社のように、途中で誰かに会社を売ってお金持ちになるという方法はあります。これは、本来、経営者がやることではなく、資本家のやることですので、ここでは、取り上げません。
さらに、会社を大きくして、かっこよくなっても、借入金額が大きくなるほど社長個人のリスクは大きくなります。
日本の場合には、社長が個人的に保証を強制されます。つまり、会社を大きくしていくにつれて、莫大な借金を背負うことになるのです。
もちろん、ここまで理解した上でなら、あえて大きくすることを選んでもいいと思います。
ただ闇雲に大きくしたいと考えると、それは、後々大きな失敗につながりやすいものなのです。
仕事を生きがいとする生き方
2つ目の軸は、自分の好きな事、得意な事を仕事としてやっていくということです。
私たちが仕事に費やす時間は、毎日1/3にもなります。寝る時間や食事をする時間もありますから、実際には、使える時間の半分以上を仕事に費やすことになります。
だったら、その時間を、より有意義なものにしていくことで、自分の人生を幸福なものに、変えていけるのです。

その為には、仕事を幸福なものに変えていくために、何を仕事にするか?
どのような商品やサービスを提供するか?
こういったことを考える必要があります。
そして、それがそのまま、お客さんの役に立つこと、つまりニーズに合致させることで、好きな事、楽しい事、得意な事を仕事として生きていくことができるのです。
そして、このことがそのまま、あなたの強み(usp)になっていきます。
小さな会社の戦略2つの軸の関係
この2つの軸は、どちらが優先するということはありません。
それぞれが密接に関わっていきます。
やりたいことを仕事として実現する為には、拡大戦略を取ると上手くいかなくなります。拡大するためには、多くの人に商品を売る必要があります。
その為には、借り入れをして、設備投資をし、生産力を上げます。
生産された商品を売る為には、市場を広くしなければなりません。
そうなると、ライバルが出現し、価格競争が起きて熾烈な争いになります。
借金を返し、社員に給料を払いうために、やりたくない仕事も、やらなければならなくなります。

反対に、拡大しない戦略では、好きな事や、得意な事を仕事にすることで、競争力を高めることができます。さらに、詳細なニーズに適応させ、付加価値を高くして、利益率を高くすることができます。
利益率を高くできるから、こだわった商品を売ることができ、それがまた、ファンを作っていきます。
排他性こそが長続きの鍵となる
好きな事を追求した先にあるのは、
「価値をわからない人には来てほしくない」
という排他性になります。
これは、誰にでも媚びるのではなく、価値をわかる人を、丁重に扱うことの裏返しです。
これは、自己満足のようでいて、実際は長期にわたって会社を保つための、最も合理的な手段といえるのです。拡大を目指さずに、好きな事を追求する。これは、つまるところ、永続性を目指す戦略になるのです。
小さな会社の戦略では、この2つの軸を中心に、マーケティング戦略を構築していきます。
これによって
「最小の資金で競争に打ち勝つ為の小さな会社の戦略」
が実現できるのです。