小さな会社や個人事業を経営するにあたって、顧客生涯価値(Life Time Value)を知っておくと、その数字を基に、様々な戦略を立てることができるようになります。
値引き戦略
その典型的な方法が、初回の販売で価格を下げることです。
つまり、値引きをするということです。
しかし、これは、単純な値段だけだと考えると可能性を狭めることになります。
大事な事は、初めて買いに来た人がイエスというよりノーというほうが難しいと思うアピールをするかです。
たしかに、初めて買ってもらう時に、商品の価格を安くすることは、とても解りやすいし、手っ取り早い方法です。

しかし、それだけではありません。
たとえば、あなたの商品の価格が2万円だとして、その原価が1万円だとします。話を単純化するために、ここでは、それ以外のコストは考えないことにします。
平均的なお客さんは、この商品を年に数回購入してくれるので、長期的にみれば顧客生涯価値(LTV)として、かなりの利益が見込めます。
さて、この時に、初回の価格を1万円で売るとすると、最初の収支はトントンとなります。
これが値引きの本来持っているパターンです。
インセンティブ戦略
しかし、この1万円には、他にも使い方があります。
例えば、販売価格はそのままで、この1万円を、販売員の販売奨励金つまりインセンティブに当ててみます。
つまり、2万円の商品を売るとそのセールスをした人に、1万円のボーナスが支払わエるということです。こうすれば、販売員はやる気になり、その結果として、大きな売り上げになります。

これは、自分の社員に限ったことではありません。特に、多くの競合商品をあつかうお店などに卸す場合には、こういった施策が効果を上げる場合も多くあります。
また、知人に紹介してもらった時に、インセンティブを渡すことで、紹介が増える場合もあります。
増量戦略
今度は、その1万円でもう一つ仕入れる。つまり、2倍の数量を仕入れることが可能になります。そうすれば、仕入れがまとまることで、仕入れ原価を下げることが可能になります。
こうなると、2万円で2個売っても利益は大きくすることもできます。
また、同じ商品ではなく補足的な商品を仕入れることもできます。
同じ価格でセットとして売れるのです。
こうすることで、製品の価値が上がり、商品も売れやすくなります。
広告戦略
また、この1万円を広告などのマーケティングコストに充てることもできます。
その分の予算で、チラシを出したり、広告を出したりすれば、その分だけ多く集客できます。
多く集客できれば、それだけ、沢山売れる可能性が上がることになります。

こうした例のように、初回の販売で、利益をゼロにすることで、多くの戦略的な方法を取ることができるのです。
しかし、これが単純に値引きするだけという、型にはまった考え方しかできないと、チャンスを逃がすことになります。
顧客生涯価値(Life Time Value)を知っているだけで、このように、多くの戦略を取ることが可能になります。
すべては、この顧客生涯価値(Life Time Value)を知り、それをどのように柔軟に考えられるかで、ライバルを圧倒する戦略を見つけることが可能になっていきます。