経営者は金を稼いで税金を納める責任がある

大金を集めることを目的にしてはいけない

ビジネスの目標は何かというと、それは、やはり利益の追求である。つまり金を儲けるということだ。だから経営者にとって、利益を出すということは、絶対に逃げることのできない至上命題である。しかし、それで終わってはいけない。会社を経営する目的とは、しっかりと利益を出して、税金を払い地域を豊かにするということにあるのだ。会社を経営するということは、そうした責任を負っているということでもある。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

利益だけを目的にすると生き方を間違う

小さな会社の為の経営戦略である『スモールビジネス戦略』では、最初に「大金を集めない」ということを前提にする。しかし、ビジネスというのは、やはり、金儲けのためにやることである。そしてビジネスの目標は何かというと、それは、やはり利益の追求なのだ。

しかし、誤解を恐れずにいうのであれば、この利益だけを目指すと間違ってしまうのだ。ビジネスで利益だけを最優先して追求すると、現代のようなグローバリズム社会に行き当たることになる。人・物・金を国境を越えて自由に移動させ、ひたすら利益を上げることだけを考えた世界が、今のグローバル資本主義の世界である。

その結果、富める者は益々富み、貧しいものは益々貧しくなっていく。世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産とほぼ同じだ。

世界中の富の半分以上を一部の人間が独占する。それが、グローバリズム資本主義だ。これが限界を迎えつつあり、2016年のブレグジット(英国のEU離脱)やアメリカのトランプ現象が起きたのである。

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自由という言葉の怖さ

グローバリズムの最大の問題は、自由というなんとも耳障りのいい言葉によって、世界が洗脳状態にされていることだ。

世界中を、自由に人や物やお金が自由に行き来できるなんて、なんと素晴らしい世界何だろう。こうした価値観を刷り込んでグローバリズムは世界に蔓延した。

しかし、完全に自由な状態とは、無政府主義になる。つまり、国家や政府を否定する元になっていく。つまり、お金というパワーを持った一部の人間が、そのお金で、暴力装置(軍隊など)を雇い、弱者を抑圧していく世界である。

この非常にわかりやすい例が習近平が、ダボス会議で「グローバリズム絶対支持宣言」をしたことだ。グロバーリズムと独裁者は非常に相性がいいのである。

私たちが、目指す世界は、そこなのだろうか?
利益だけを目的とすることは、そういう世界なのだ。

会社は利益を出さなければいけない

会社は利益を出さなければいけない

今は、小さな会社の経営者にとって、利益に変わる新しい目標が必要になっている。その為には、まず小さな会社の目的は大金を集めることではないというところに立ち返る必要があるのだ。

しかし、経営者にとって、利益を出すということは、絶対に逃げることのできない至上命題である。

会社の欠損は社会の不善である。
これは、絶対的なものだ。

しかし、利益を出すことと、大金を集めることとは別のものなのだ。ここを間違ってしまうのである。

会社の役割とは、企業活動を通じて、社員を雇用し、給料を払い、税金を支払うことだ。
ここのところが、理解できていない経営者が多くて、地域や日本が衰退に向かっている。

税金を納め社会に貢献するのが会社の使命

お客に商品を買ってもらって、そこから上がった利益を、社員に給料として支払い、残った利益からしっかり税金を払うこと。これが、会社のやるべきことだ。

しかしながら、ほとんどの経営者が税金をできるだけ払わないようにする。

気持ちはわかる。
私も、税金を払うときには、やはりイヤーな気分になったりする。

しかし、少なくとも地方においては、その税金で、インフラが整備され、仕事をすることができるのである(国の場合は国債を発行して通貨を生み出せるので別の話となる)。もし誰も税金を払わなかったら、水道は止まり、道路はボロボロになり、さらに、ちょっとした災害で住む場所もなくなってしまう。

もしあなたの会社の商圏内に人が誰も住めなくなったら、会社などあっという間に潰れてしまう。会社が存在できるのは、その地域によって、支えられているからだ。

だから、利益が残ったら、できるだけ、自分の商圏に金を還流させる必要がある。税金に払うだけではなく、地元のために寄付をしたり、寄進をしたりして金を使うことだ。もちろん人を雇用してそこに金を支払うことも立派な社会貢献である。

こうしなければ、結局、小さな会社は繁栄どころか、存続そのものができなくなる。

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経営者としての責任を自覚する

松下電器の創業者松下幸之助氏の有名なエピソードがある。

あるとき事業部長が報告のため本社に呼ばれました。松下氏は先月の決算はどうだったか事業部長に尋ねました。扇風機事業部の部長は扇風機が夏物商品で、夏以外の月は売れないので赤字だったとしても叱られないと高をくくっていたた。

赤字の報告を受けた松下氏は真剣な表情で言ったそうである。

「君はどの道を歩いてきた。
小さくなって道の隅を歩いてきただろうな」

松下幸之助氏は、

「企業にとって、利益を出し
税金を納めることが社会貢献の基本である」

という信念を持っていた。

松下幸之助が事業部長に言ったのは、赤字を出し納税していない自分が、税金で作られた公道の真ん中を堂々と歩いてはいけないという戒めなのである。

経営の基本は納税を行うことにある

企業の社会貢献の基本は、納税を行うことだ。

納税が私たちの生活を支えていることに変わりはない。大きな災害が起きた時も、安心安全な社会で生活ができることも、すべて私たちの税金が生かされているのである。

もちろん他に社会貢献の形はいろいろある。

メセナ活動として文化・芸術・音楽にお金を出して支援するのも、プロスポーツのスポンサーや地域のスポーツの育成を応援するのも、ボランティア活動として会社ぐるみで活動をするのも、災害に遭われた方への寄付・義援金を送るのも、すべて立派な社会貢献である。

しかし、間違いなく言えることは、まずもって日本国家の法人として、日本国にしっかり納税を行うことが大前提であるということだ。

小さな会社を経営する目的とは、しっかりと利益を出して、税金を払い地域を豊かにするということである。これを、絶対に忘れないようにして欲しい。

経営の基本は納税を行うことにある

経営者としての責任を果たす

そもそも、あなたが会社を経営する本来の目的は、金儲けだけではないはずだ。

なぜなら、大金を集めたかったなら、商売よりも、投資に専念したほうが、大金をつかめる可能性が高いからだ。ジョージ・ソロスやウォーレン・バフェットを見習えばいい。

もちろん小さな会社を経営することで、金は付随して生まれてくる。しかし、それを目的にすると、かえって、上手くいかないものなのである。

それよりも、自分の好きな事、得意な事で、お客にとって、価値ある商品やサービスを提供することが、成功につながる道なのだ。

「大金を集めない」とは、大金を集めることを目的としないことである。結果としてもしかしたら、大金が手に入るかもしれない。しかし、それはあくまで結果である。そこを最初から目指すのではないということだ。

ここを間違わないようにしたほうがいい。小さな会社の社長は、何のためにビジネスをするのかからスタートすることである。

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