顧客生涯価値こそが利益構造を作る

顧客生涯価値が利益構造を作る

『顧客獲得コストを計算していますか』でお伝えした顧客獲得コスト。自分の会社やお店に当てはめて計算してみましたか?

その結果として、こんなにもかかってしまうなら、広告やチラシを打つなんてとても無理だと、そう思われたかもしれません。しかし、ここで朗報です。実際には、世の中結構甘いものです。

それを感じていただくために、もう一つ知っておくべき数値があります。

それが、顧客生涯価値(Life Time Value)です。よく、LTVと略されて言われるものです。これは、小さな会社やお店の経営にとって、最も重要な数字ということができます。

顧客生涯価値(Life Time Value)

顧客生涯価値とは、
「1人の顧客が一生涯で生み出す利益」
のことです。

たとえば、ここにAさんというお客様がいたとします。Aさんは、5,000円(粗利率35%)の買い物を年間10回、10年間続けたお客です。残念ながら、10年後に引っ越ししてしまって、あなたのお店や会社との取引が終わってしまいました。では、このAさんが、「一生涯かけて」あなたのお店や会社に置いていった利益はいったいいくらだったでしょうか?

これは、簡単な計算ですね。

5,000円×0.35×10回×10年=175,000円

つまり、このAさんは、一生涯に175,000円の利益をもたらしたということになります。

さて、このAさんを獲得したのは、チラシを1万枚配って、10人の新規顧客を獲得できたうちの一人だったとします。

そうすると、Aさん一人を獲得するために、「新規顧客獲得コスト」が1万円かかったことになります。
つまり、このチラシを撒かなければ、175,000円の利益をもたらしてくれたAさんとの出会いはあり得なかったのです。

さて、そうなると、このチラシでの販促は成功だったでしょうか?

もちろん、大成功なのです。Aさん一人で165,000円の利益を獲得したことになるからです。

しかし、毎回必ずAさんのようなお客様を獲得できる保証はないかもしれないと思うかもしれません。もちろん、こういった可能性はランダムに起きてきますから、全員が同じではありません。

しかし、このAさんが、あなたのお店や会社の「平均的なお客さん」だとしたらどうでしょうか?

Aさんが平均的なお客さんならば、実際には、AさんよりももっとLTVが大きなお客さんも沢山いることになります。もちろん、反対にAさんより、ずっと少ないLTVのお客さんも沢山います。そんななかで、全員の「平均的なお客さん」が、Aさんだということになります。

そして、平均的なお客さんだから、あなたが新規客を一人獲得すれば、Aさんのようなお客さんに成長する確率が一番高くなるのです。

ここが最も重要な部分で、一人の新規客を獲得すれば、一生涯で平均どれくらいの利益を置いていってくれるのかがわかります。

これが「平均顧客生涯価値」という数値です。

顧客生涯価値と顧客獲得コストの関係

顧客生涯価値と顧客獲得コストの関係

先ほどのAさんが平均的なお客さんだとすると、チラシを1万枚配って、10人の新規顧客を獲得したときに、この10人も同じだけの利益を出してくれることになります。

つまり、チラシを1万枚配って、10人の新規顧客を獲得してその費用が10万円かかったとします。一人当たりの平均生涯価値が175,000円ですから、全部で1,750,000円の利益が出ることになります。

このお客さんを獲得するコストが10万円。

さて、あなたはこのチラシを出しますか?
もちろん、やるに決まっています。

しかし、多くの経営者が、1回の販促にかかる費用と、その場だけで積みあがった売上を比較して、効果を測定しています。今回の販促は、黒字だった、赤字だったと一喜一憂しています。

もちろん、目先の売上だけを考えるのであれば、それでもかまいませんが、経営で最も大事なのは、継続的に物事を考えることです。目先の売上だけを追い続けた結果は、たいてい、業績が悪化していくのです。

あなたが安定して経営を長続きさせたければ、短期的な視点で考えるのではなく、長期的な視点で考えるべきなのです。

そんな中で、最も重要な指標がこの「顧客生涯価値」なのです。

顧客生涯価値の計算方法

顧客生涯価値の計算方法

あなたが商売で利益を出すために最も必要な情報は、顧客の生涯価値です。生涯価値とは、そのお客さんが一生涯にあなたにもたらしてくれる総利益のことです。

これはLTV(ライフ・タイム・バリュー)と呼ばれるもので、仮に1,000円の商品で繋がった顧客が、その後も毎年1万円の商品を10年間購入してもらえれば、そのお客さんのLTVは101,000円です。(ここでは、原価や経費の計算は省いています)

つまり、理論上は、この1人のお客さんを獲得するために101,000円までコストを使っていいということになります。それだけ使っても収支は、トントンになるということです。

ビジネスを考える上で、この数字をしっかりと把握しているかどうかで打ち手に大きくかかわってきます。

平均顧客生涯価値

平均顧客生涯価値

そうはいっても、なかなか複雑な計算で、もう既に、計算する気が失せてしまっているかもしれません。

そこで、最も使いやすい「平均顧客生涯価値」の算出方法をお伝えしておきます。

「平均顧客生涯価値」の計算式は、
【創業以来の総売上÷創業以来の総顧客数×粗利率】
となります。

顧客台帳が整備されていれば、とても簡単に出すことができますので、ぜひ、算出をしておいてください。

もし、顧客台帳が無い場合は、残念ながら出せません。
しかし、現実には、多くのお店や会社が顧客台帳を整備していません。

顧客台帳が未整備だったりすると、実際の顧客人数が把握できません。
こうなると、顧客生涯価値(Life Time Value)が、計算できないという現実に突き当たります。

そんな場合はどうしたらいのでしょう?

「年間の顧客数が判らない」場合には、年間の延べ客数を1/3にすると、概算の顧客数となりますので、使ってみてください。だいたい、近い数字となるはずです。

さらに、もう一つ、10年も20年もかけて、「1回の広告にかかったコストを取り戻す」なんて、ちょっと、ついていけない。そう思うかもしれません。

そこで、現実的に考えるべきなのが、「年間平均顧客価値」です。

これは、
「1人のお客さんが1年間で生み出す利益の平均」
ということです。

「1人の新規客を獲得すれば、
 1年でいくらの利益をおいていってくれるのか」

これを計算します。

この計算式も簡単で

  年間売上高÷年間総顧客数×粗利率

こうなります。

顧客数が判らない時は、これからカウントしていってください。1年後には、正確な「年間平均顧客価値」を算出することができるようになります。

そして、この「年間平均顧客価値」は、そのまま、一回あたりの販促費の基準になります。

前回の例で出てきたAさん。
Aさんは、5,000円(粗利率35%)の買い物を年間10回のお客さんです。

この場合、5,000円×0.35×10=17,500円

これが、一人のお客さんを獲得する時に使える金額の上限となります。

年間で利益を17,500円出してくれるお客さんを17,500円使って集めるというと、儲けが無いように感じてしまうかもしれません。

しかし、利益は2年目から生み出せばいいのです。

新規客の集客という投資

新規客の集客という投資

新規集客費用は投資です。設備投資と同様に、新規集客にかかる費用は、1年かけて回収し、2年目以降に利益を出せればいいのです。新規の集客に投資をして、既存客に育てて、利回りを得ていく。これが、集客の基本的な考え方なのです。

ところが多くの場合、チラシに10万円を使って6人の新規客しか集まらなかったので、その後はチラシを配らなくなってしまうのです。

しかし、17,500×6=105,000円です。

「年間平均顧客価値」から考えれば、充分効果があるのです。翌年からは、経費0円で利益が出るようになります。

また、同じように、チラシに10万円を使って、今度は50人もの新規客が集まったので、その後はチラシを配らなくなった。こういった例もよく見かけます。

これも大きな間違いです。

17,500×50=875,000円で、販促は大成功ですが、ここで満足するのではなく、生まれた利益を、さらに販促に「再投資」すべきなのです。反応率が5人に下がるまで繰り返し、繰り返し、同じチラシを打ち続けていけばいいのです。

こうすることで、2年目以降にレバレッジが効いてきます。つまり、少ない元手でより多くの売上につなげることができるようになるのです。

こういったことを怠って、目先の売上だけを考えていると、最終的にお店や会社は、閑散としてしまいます。

だからこそ、

「1人の新規客を集めるのに、
 どれくらいまでコストをかけていいか」を

把握して、集客を行い続ける必要があるのです。

不景気になると、多くのお店や会社が販促費を削ります。これで、短期的な収益を改善することはできます。
しかし、目先の販促費を削ると、その時は収益が改善されますが、その結果、数年後には大きな打撃を受けてしまうのです。

経営を安定させるためには、1回あたりに使える販促費をきちんと算出して、将来への投資は惜しまずに使うことです。もちろん、むやみやたらに、販促費を使えばいいのではなく、「年間平均顧客価値」を把握して、効果があるかどうかを数字で理解しておくことが、とても重要になるのです。

顧客生涯価値の計算ができない場合

顧客生涯価値の計算ができない場合

しかし、小さな会社やお店の場合、ほとんどがこの数字を出すことができません。

その理由は、そもそも顧客数をデータとして持っていないということです。見込客どころか、得意客のデータすらも無いという致命的な状態にあります。

とにかく顧客生涯価値(を算出するためにも、顧客のデータをしっかりと整備しておくことです。

顧客データが無い場合には、まずここを作ることを最初に行います。めんどく臭いと思いがちですが、どこかで今の状態を変えていかなえければならないので、とにかく、取り掛かってください。

とりあえずは1ヶ月分のデータを作ることから始めます。それを12倍にして、仮の顧客生涯価値を出していきましょう。

まずは仮でもいいので基準となる顧客生涯価値を作ります。
そして、1年後にこの数字を実際の数値で修正します。

とにかく、データで考える癖をつけることからです。そして、1年後にしっかりと顧客台帳を整備して、正確な数字を出すようにしてください。

多少のずれは生じますが、年間の顧客生涯価値が出れば、それを基にビジネスを組み立てても、大きな狂いは生じません。

誤差よりも、まず、この顧客生涯価値を知り、それを基に戦略を立てることができれば、ライバルに大きく差をつけることが出来るようになるのです。

ぜひ、あなたも今すぐ顧客生涯価値の算出に取り掛かってください。

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