ニーズとウォンツの間違い

「ニーズ」なのか「ウォンツ」なのか

コンサルティングをしていると、経営に関して単純な勘違いが、多くの場面で見受けられます。特に、経営者が一生懸命学ぶと、それを現場で間違って使ってしまい、混乱をきたしていたりします。

その代表的なものが「ニーズ」と「ウォンツ」の関係です。
これは、中途半端にマーケティングをかじった人間ほど間違った理解をしてしまうものです。

「ニーズ」と「ウォンツ」に関しては、『近代マーケティングの父』と呼ばれるアメリカの経済学者フィリップ・コトラーが、次のように定義づけています。

ニーズ(Needs)とは、
「人間が生活上必要な、ある充足状況が
 奪われている状態(欠乏状態)のこと」

ウォンツ(Wants)とは、
「ニーズを満たすための、
 特定のモノが欲しいという欲望のこと」

ニーズとウォンツどちらで利用するのか

さて、ここで問題です。

お客さんが居酒屋に行くとします。

それは
「ニーズ」として行くのでしょうか?
それとも、
「ウォンツ」としていくのでしょうか?

じつは、これが販売のタイミングに重要な意味を持っています。

おそらく、多くの方がが
「飲みに行きたい(ウォンツ)時に利用している」
そう考えているはずです。

これは、感覚的には私も同じでした。

「今日は、ちょっと飲みたいな。」

そう思った時に居酒屋さんんを利用していると思い込んでいました。
だから、お客さんは「ウォンツ」に左右されて、購買行動を起こしていると思っていました。

しかし、ここに、現実との乖離が存在します。

数字から見るニーズとウォンツの現実

まず、一般的な居酒屋さんの月別の売上高を見てみるとします。

売り上げが高い順にみてみると、12月、8月が圧倒的に売上が高くなります。
次が3月ですね。

さらに4月、5月、1月となります。

では、なぜ、こうなるのでしょうか?

居酒屋さんの売上が12月に増える理由・・・
これは、誰でも解りますね。

そう、年末は「忘年会」シーズンだからです。
居酒屋さんの一番の稼ぎ時です。

この忘年会という絶対的な行事が売上を押し上げるのです。

次に多い8月は、暑い月です。
だれだって、冷たいビールが飲みたくなります。
「夏」だからです。

さらに、「お盆」などがあり、仕出しなどの需要なども、多くなる月です。
3月は人事異動による「送別会」が行われます。
4月・1月も「歓迎会」、「入学式」、「花見」、「新年会」など、やはり、行事が多い月になります。

居酒屋に限らず、飲食店が忙しい月は「行事」が多い月なのです。

これらは、誰もが簡単に理解できることです。

行事があるから利用する

では、この行事というのは、お客さんにとって、「ニーズ」なのか、それとも「ウォンツ」なのかということです。

「飲む必要性があるとき」(ニーズ)なのか、それとも「飲みたいとき」(ウォンツ)なのかです。

居酒屋のお客さんが忘年会を開いているきっかけは、
「今日は無性にビールが飲みたいなあ(ウォンツ)、じゃあ忘年会でもしてみるか」
でしょうか?
 
送別会の為に、居酒屋さんを予約するのは、
「今日は無性にお酒が飲みたいなあ(ウォンツ)、じゃあ送別会でもやろうか?」
でしょうか?
 
そんなわけないのです。

「忘年会」は、日頃はあまり飲みに行かない人まで含めて、飲まなければならない必要性(ニーズ)に迫られているから、居酒屋さんは、12月に忙しくなるのです。

これは、すべての行事に共通しています。
そして、こうした行事が多い月ほど飲食店は忙しくなるのです。

では、反対に暇な月はどうなのでしょうか?

一般的に飲食店の暇な月は、2月・7月・6月・10月と言われています。
これは、飲食店の売上に影響しそうな行事がほとんどない月なのです。
つまり、売上が低い月は、行事が少ない月だということなのです。

唯一の例外が7月の鰻屋、2月のお菓子屋さんです。

7月に鰻屋さんが忙しいのは、「土用の丑」という行事を作ったからです。
2月にチョコレートが売れるのは、「バレンタインデー」を作ったからです。

結論として、お客さんは

「食べたい(ウォンツ)ときに、飲食店を利用しているのではなく、必要性(ニーズ)に迫られ、飲食店を利用しています。」
  
これは、ほとんどの業種に共通して言えるのです。

ニーズが行動のきっかけになる

美容院でも、歯科医院でも、洋服店であっても、
「髪を切る必要性」
「歯を治療する必要性」
「洋服を買わなければならない必要性」が
高い時にこそ、お客さんは、それぞれの、お店を利用しているのです。

もちろん、あなたの会社やお店も、そのようにお客さんに利用されているということです。

フィリップ・コトラーの定義をもう一度書いてみると、

ニーズ(Needs)とは、
「人間が生活上必要な、ある充足状況が奪われている状態(欠乏状態)のこと」

ウォンツ(Wants)とは、
「ニーズを満たすための、特定のモノが欲しいという欲望のこと」

まずニーズ(Needs)のほうが先にあるのです。
このニーズこそが、行動のきっかけであって、ウォンツが最初では、無いということです。

ここを明確にするだけで、集客を増やしたり、売上を増やすことが効率的にできるようになっていきます。なぜなら、それによって、販売のタイミングを読むことができるようになるからです。逆に、ここを間違えているために、広告などの多くの打ち手が失敗してしまうことになるのです。

ニーズ(Needs)とウォンツ(Wants)では、まずニーズ(Needs)のほうが先なのです。

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