小さな会社の戦略では最初に、「大金を集めない」ということを上げています。
しかし、商売というのは、やはり、お金儲けのためにやることです。そして商売の目標は何かというと、それは、やはり利益なのです。
利益だけを目的にすると間違う
しかし誤解を恐れずにいうのであれば、この利益だけを目指すと間違ってしまうのです。商売で利益だけを最優先して追求すると、現代のようなグローバリズムに行き当たります。
人・物・金を国境を越えて自由に移動させ、ひたすら利益を上げることだけを考えた世界が、今のグローバル資本主義の世界です。
その結果、富める者は益々富み、貧しいものは益々貧しくなっていきます。
世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産とほぼ同じです。

世界中の富の半分以上を一部の人間が独占する。
それが、グローバリズムです。
これが限界を迎え、2016年のブレグジット(英国のEU離脱)やアメリカのトランプ現象が起きているのです。
自由という言葉の怖さ
グローバリズムの最大の問題は、自由というなんとも耳障りのいい言葉によって、世界が洗脳状態にされていることです。
世界中を、自由に人や物やお金が自由に行き来できるなんて、なんと素晴らしい世界何だろう。こういった、価値観を刷り込んでグローバリズムは世界に蔓延したのです。
しかし、完全に自由な状態とは、無政府主義になります。つまり、国家や政府を否定する元になっていきます。
つまり、お金というパワーを持った一部の人間が、そのお金で、暴力装置(軍隊など)を雇い、弱者を抑圧していく世界です。

この非常にわかりやすい例が習近平が、ダボス会議で「グローバリズム絶対支持宣言」をしたことです。グロバーリズムと独裁者は非常に相性がいいのです。
私たちが、目指す世界は、そこなのでしょうか?
利益だけを目的とすることは、そういう世界なのです。
会社な利益を出さなきゃいけない
今は、小さな会社の経営者にとって、利益に変わる新しい目標が必要になっています。
その為には、まず小さな会社の目的は大金を集めることではないというところに立ち返る必要があるのです。
しかし、経営者にとって、利益を出すということは至上命題です。
会社の欠損は社会の不善です。
これは、絶対的なものです。
しかし、利益を出すことと、大金を集めることとは別のものなのです。ここを間違ってしまうのです。

会社の役割とは、企業活動を通じて、社員を雇用し、給料を払い、税金を支払うことです。
ここのところが、理解できていない経営者が多くて、地域や日本が衰退に向かっているのです。
税金を納め社会に貢献する
顧客に商品を買ってもらって、そこから上がった利益を、社員に給料として支払い、残った利益からしっかり税金を払うこと。
これが、会社のやるべきことなのです。
しかしながら、ほとんどの経営者が税金をできるだけ払わないようにします。
気持ちはわかります。
私も、税金を払うときには、やはりイヤーな気分になったりします。
しかし、その税金で、インフラが整備され、仕事をすることができるのです。
もし誰も税金を払わなかったら、水道は止まり、道路はボロボロになり、さらに、災害で住めなくなります。

もし商圏内に人が誰も住めなくなったら、会社などあっという間に潰れてしまいます。小さな会社が存在できるのは、その地域によって、支えられているからです。
だから、利益が残ったら、できるだけ、自分の商圏にお金を還流させる必要があるのです。
税金に払うだけではなく、地元のためにお金を使うことです。
こうしなければ、結局、小さな会社は繁栄どころか、存続そのものができないのです。
経営者の責任を自覚する
松下電器の創業者松下幸之助氏の有名なエピソードがあります。
あるとき事業部長が報告のため本社に呼ばれました。
松下氏は先月の決算はどうだったか事業部長に尋ねました。
扇風機事業部の部長は扇風機が夏物商品で、夏以外の月は売れないので赤字だったとしても叱られないと高をくくっていました。
赤字の報告を受けた松下氏は真剣な表情で言ったそうです。
「君はどの道を歩いてきた。
小さくなって道の隅を歩いてきただろうな」
松下幸之助氏は、
「企業にとって、利益を出し
税金を納めることが社会貢献の基本である」
という信念を持っていました。

事業部長に言ったのは、赤字を出し納税していない自分が、税金で作られた公道の真ん中を堂々と歩いてはいけないという戒めなのです。
経営の基本は納税を行うこと
社会貢献の基本は、納税を行うことです。
納税が私たちの生活を支えていることに変わりはありません。
大きな災害が起きた時も、安心安全な社会で生活ができることも、すべて私たちの税金が生かされているのです。
もちろん社会貢献の形はいろいろあります。
メセナ活動として文化・芸術・音楽にお金を出して支援するのも、プロスポーツのスポンサーや地域のスポーツの育成を応援するのも、ボランティア活動として会社ぐるみで活動をするのも、災害に遭われた方への寄付・義援金を送るのも、すべて立派な社会貢献です。

しかし、間違いなく言えることは、まずもって日本国家の法人として、日本国にしっかり納税を行うことが大前提であるということです。
小さな会社を経営する目的とは、しっかりと利益を出して、税金を払い地域を豊かにするということです。
これを、絶対に忘れないようにして欲しいのです。
経営者としての責任を果たす
そもそも、あなたが会社を経営する本来の目的は、お金儲けではないんじゃありませんか?
なぜなら、大金を集めたかったなら、商売よりも、投資に専念したほうが、大金をつかめる可能性が高いです。ジョージ・ソロスやウォーレン・バフェットを見習えばいいのです。
もちろん小さな会社を経営することで、お金は付随して生まれてきます。しかし、それを目的にすると、かえって、上手くいかないものです。

それよりも、自分の好きな事、得意な事で、顧客にとって、価値ある商品やサービスを提供することが、成功につながる道なのです。
「大金を集めない」とは、大金を集めることを目的としないことです。
結果としてもしかしたら、大金が手に入るかもしれません。しかし、それはあくまで結果です。そこを最初から目指すのではないということです。
ここを間違わないようにしてください。
小さな会社の経営者は、何のために商売をしているのか。
まずは、ここからスタートすることです。