経営者のアイディアと情熱と信念

スモールビジネス戦略の底にあるもの

経営者(創業者)のアイディアと情熱と信念

「小さな会社や個人事業は、経営者(創業者)のアイディアと情熱と信念によって成り立っている。」
これが、私が小さな会社や個人事業をコンサルするときに中心に置いておく認識です。

じつは、この定義は、特別目新しいものではありません。むしろ、戦後の日本の復興を支えてきた名経営者たちは、すべて、アイディアと情熱と信念をもって経営してきました。松下幸之助、本田宗一郎といった伝説の名経営者達は、アイディアと情熱と信念による経営を行ってきたのです。

しかし、会社が大きくなるとともに、その中心にあるものがどんどん薄まってきます。会社を一度でも経営された方は、感じられたと思いますが、会社というのは一つの生き物なのです。会社が小さいうちは、社長の意思がすべてです。しかし、大きくなるにつれて、多くの人の意思が反映され、独自の方向へ勝手に進みだしていきます。

最初は 「経営者(創業者)のアイディアと情熱と信念による経営」だったものが、経営者の意思とは関係なく、多くの人の思惑で動き出してしまうのです。さらに会社が大きくなると、今度は市場原理や投資家の思惑に左右されて、当初の姿を失っていきます。

これが、今の日本の企業の姿です。

大手企業は、小さな会社から始まった
ただし、昔は・・・

パナソニックやホンダなんて、家内制手工業なところから今の会社を築いています。だから、私たちは、会社を作るというときに、このイメージをどうしても浮かべてしまいがちです。

ところが、今は、ちがうんですね。

現代の大手企業の成り立ち

大手っていうのは最初から大手で、その最初の大手を作るやり方は、まず、銀行から借入して出資者も見つけ企画案を提示して仲間集めたり優秀な人材をヘッドハンティングしてきます。

こうして、いきなり大手企業が出来上がるわけです。つまり、ソフトバンクとか楽天とかが出来上がるわけです。映画の「ソーシャルネットワーク」の中でも、マーク・ザッカーバーグが、FaceBookを大きくした時に 同じようなことをやっていましたね。

つまり、売上の前に、まず大きな資金があるわけです。また、そこに投資する投資家たちがいるんですね。そして、一気に業界を塗り替えるといった形です。

しかし、今はそのやり方が、インターネットがこれだけインフラ整ってくると、
「そんなことしなくても 充分にマスにアプローチできるし意味なくないか?」
ってなってきています。

従業員100人売り上げ高10億円という会社と従業員10人売上げ1億じゃ、後者のほうが儲かってますからね

そうなってくると 前者のリスクってやばいよねっていう話しになってきて、ついには、
「店舗の意味てそもそもあるの?」
みたいなことに、最近はなってきてます。

スモールビジネス戦略の原点

そういえば、昔よく、邱永漢さんが

「お金持ちになりたかったら、
 小さな会社をいくつも持つ方がいいよ。
 会社を大きくすると、リスクだけが大きくなるから。
 小さな会社は自分のお財布と同じだから。
 でも、会社を大きくしてどんどん人が入ってくると自由にならなくなる。
 さらに、株式なんか公開して、株価が上がって資産家になっても
 自社株は売れないから、しょせん絵に描いた餅と同じだよ。
 そのうえ、死んだら相続税まで取られる。
 だったら、小さな会社をたくさん持ちなさい」

こういっておられました。
私の小さな会社の戦略の原点はこの言葉にあります。

こうしてみると、そもそも、 会社を大きくする意味がないわけです。もちろん、雇用をたくさん増やして社会貢献したいという方は、会社を大きくすればいいのです。

しかし、従業員100人で売り上げ高10億円という会社を作るよりも、従業員10人で売上げ1億の会社を複数作ったほうが、働く人も豊かになれるし、経営者もよほど楽です。
こっちのほうが、より現代的ですね。

商売の本質とは

そもそも、商売とは何か?

昔見たドラマで感動したワンシーンがあるのでシェアしますね。
(あ、ちなみに、私、石原さとみさんの大ファンです)

「ずーと考えていたんだ。」
「うさんくさい、信用できないと思われている会社で、いったい僕は何をするんだ?」
「IT というと、通信スピードが速いとか、情報量が多いとか、無料で使えるとか、
 そういうこと ばかりで競い合っているが…」
「そんなことはどうでもいいっ!」
「IT とは…人々の生活を豊かにするものだ。」
「パーソナルファイル だって そうだっ」
「グラハム・ベル という男は、ナゼ電話を作った?」
「事実はわからない。でも、僕はこう思う…」
「遠くにいる恋人の声が聞きたかった。
 それか、心配ばかりする母親に無事を知らせて安心させたかった。」
「メール に写真をつける技術だって同じだ。」
「離れている人と同じものを見て、一緒に笑ったり、
 喜んだりしたい…そう思ったから、作ったハズだっ.」
「ITの中心には…いつも人間がいるんだ。」
「僕らの仕事は、たぶん...大切な人を思うコト から始まるんだ。」
「君たちにも、そういう人がいるだろ。」
「だったら、その人の為に創ろう!」

『リッチマン、プアウーマン』の最終話から

商売というのは、つまるところ お客さんとの1対1が基本です。ここにすべてが凝縮されているといってもいいです。この1対1の人間関係がすべてでもあります。

それが、いつの間にか、効率だ、売上だとなっておかしくなってるのですね。

アイディアと情熱と信念こそが小さな会社やお店の原点

ですから、最初から大金を集めない、拡大を目指さないという小さな会社で、はじめて、あなたのアイディアと情熱と信念を中心にした商売が成り立ちます。

こうすることで、あなたが本当に情熱を感じることを仕事とし、充実した毎日を過ごすことができます。そのことで、あなたは、より創造的なアイディアを得ることができ、商売が良い循環で回っていくようになります。さらに、顧客を使命を果たすための相手だと捉えて、信念を持って顧客と付き合い、仕事を通して人生の目的を果たします。

これが、 「経営者(創業者)のアイディアと情熱と信念による経営」 という小さな会社の形なのです。そして、これが歴史的に日本人のDNAに組み込まれたものであり、戦後の日本が奇跡の復活を遂げた原動力でもあるのです。

混迷の時代の中にある日本は、緊急に昔の姿を取り戻す必要があります。スモールビジネス戦略を1人でも多くの人が実践していくこと、これこそが、今の日本を救う道だと私は考えています。

最後に私の大好きな岡田徹の言葉を載せておきます。

生涯の願い

「私の生涯の願いは
 タッタ一人でよい
 この店は
 私にとっては
 だいじな店です
 と
 いってくださる
 お客という名の
 友人をつくること」

  『岡田徹詩集』より

岡田 徹 明治37(1904)年東京生まれ。
戦前から戦後にかけて活躍した商業指導家、経営思想家

お金の原理幸福の原理

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