小さな会社は倒産しにくいビジネスを作れ

「スモールビジネスは拡大を目指さないほうがいい」という記事の中で、スモールビジネスは拡大を目指さないほうが良いということを書きました。

そんなバカなと思うかもしれません。しかし、これは小さな会社やお店にとってとても重要な戦略なのです。

経営者はなぜ拡大を目指してしまうのか

そもそも、なぜ経営者は、拡大を目指すのでしょうか?

多くの経営者はこう答えます。
「よりより商品やサービスを、より多くのお客様に、より安く届けるため」
これは、確かに正論です。

これができれば素晴らしいです。

しかし、高品質、低価格を追求してきた日本の企業がどうなったかは、ここ数年の状況を見ていればよくわかります。より安い労働力を持つ国に勝つことはできません。結果として、価格競争に苦しむことになります。

拡大すれば倒産のリスクが高くなる

さらに、会社やお店というのは、大きくしようとするほど倒産するリスクは、むしろ増えていきます。多くの会社が、拡大を目指し全国に出店して、そして潰れていきます。

会社が倒産する理由は、基本的には、資金ショートだけであり、その原因のほとんが、固定費が大きくなりすぎて売上が減った時に経費がまかないきれず窮地に立たされるからです。

ここで、一時的に借り入れなどをして、たとえ、窮地をしのいだとしても、その後は、資金繰りに追われ、最終的には、やはり倒産してしまいます。

この時にはもう、負債は手の施しようがないくらい膨れ上がってしまいます。ですから、お店や会社を大きくすることは、くれぐれも気を付けるようにしてください。

会社やお店を大きくしようと思った時に、結局、この無理な拡大サイクルにハマって抜け出せなくなっていくのです。

スモールビジネス戦略は倒産しにくいビジネスを作る

スモールビジネス戦略であえて拡大をしないというルールを作るのは、倒産しにくいビジネスを作るということでもあります。

では、拡大することによる経営者のメリットは何でしょうか?

まずは、「社会的にかっこいい」ということがあります。大きな会社の社長はやはりステータスです。マスコミに取り上げられたりして、ちやほやされたりもします。芸能人と結婚できるかもしれません。しかし、おそらく経営者の収入的には、大きくても、小さくてもそれほど変わることはありません。

資産は、株式を上場すると、大きくなりますが、それを売って現金にできるわけではありません。(もちろん、会社そのものを売却すれば別です)

それどころか、借入金額が大きくなるほど経営者個人のリスクは大きくなります。借入金の保証は、代表者の個人保証です。しかし、ここまで理解した上でなら、あえて大きくすることを選んでもいいと思います。ただ闇雲に大きくしたいと考えると、それは、後々大きな失敗につながりやすいものなのです。

会社は株主のためにある

また、会社を大きくして、上場したいという目標を持つ経営者もいます。これは、起業したら、やはり誰でもやり遂げてみたいことですよね。しかし、株式を公開した時点で、会社の目的は株主価値の増大となり、極端な言い方をすれば、株主のために仕事をすることになります。

ホリエモンがライブドアの社長だった時、「会社は株主のためにある」という話をしていましたが、これが株式会社の真実です。そうなると、短期的な利益を最大化することを求められ、目の前の利益を最大化するために、多少の犠牲も厭わなくなります。

社員を酷使し、仕入先に圧力をかけ、競合他社の足を引っ張り、自然環境に過度な負荷をかけ、お客様の購買意欲を巧妙に駆り立てて、必ずしも必要でないモノを売ってでも利益を最大化させようとしていきます。

「よりより商品やサービスを、より多くのお客様に、より安く届ける」だったはずの目標が、株主の為の利益の
最大化になるのです。

ちょっと、極端な表現ですが、これが、現代のグローバリズム社会の姿です。ビジネスの拡大を目指すということは、最終的にはここを目指したいかどうかなのです。そして、一度、拡大を目指すと、後戻りできなくなります。

私は、こういう世界は好きではないので、あえて拡大を目指さないようにしています。そのほうが、お客さんの喜ぶ顔が見えて、やりがいがあるからです。

価格競争を起こさずに利益を増やしていく

ここで間違えないで欲しいのは、拡大をしないからと言って、売上を減らすということではありません。同じ売り上げを増やすのであっても、数量を追うのではなく、バランスよく上げていくということです。抽象的な言い方をするならば、面で広げるのではなく、深さを追求するということです。

不特定多数に大量に売るのではなく、限定したお客さんに、時間経過まで考えて商品を売っていくということです。つまり、時間軸を中心としたマーケティングということになります。その為には、お客さん一人一人と向き合うことが必要になります。

この考え方を取り入れることで、価格競争を起こさずに、利益を増やしていくことが可能になります。まずは、無理な拡大をせずに、顧客と向き合うこと。これが、スモールビジネス戦略の考え方の中心となるのです。

まあ、そういう私も、以前は、ビジネスをやる上で拡大は避けて通れないと考えていました。なぜなら、お店などをやっていると、年々経費が上がっていきます。水道光熱費や、人件費が必ず増えていくから、売上を増大させるしかビジネスを維持できる方法は無いと思っていたのです。

これは、インフレ下の経営スタイルです。売上を増やすためには、生産を増やさなくてはなりません。もちろん、営業などの販売コストも当然増えていきます。その為、会社やお店を維持するためには、商圏を拡大し、売上を増やしていくしかありえませんでした。

デフレ環境における経営スタイル

しかし、これが、一旦、経済がデフレ環境に落ち込むと、結局、売上そのものが下がり、問題は売上をいかにして上げるかが問題になります。ビジネスコストが増えるから問題が起きるのではなく、需要そのものが不足していくのです。

日本では1997年以降ずっと、お客様の購買力が 落ち続けています。デフレ経済における実質賃金の低下です。これは、もう拡大をするのではなく、商売の仕方の根本から、見直さなければならない状況になっているのです。

売上の減少を、補うためには、単価を上げるか、客数を増やすのか、はたまた、リピート回数を富者すのか?
しかし、需要そのものが落ちているときは、客数やリピート数を上げることが、なななか難しくなります。そこで、単価を上げていくことになります。

しかし、もちろん単なる値上げでは、お客さんが減ってしまいます。そうではなくて、新しい価値を創造し、客単価を上げていくことに進むしかありません。そうなると、単に拡大すればいいという問題ではなく、どうすれば、新しい価値を作りだせるかにかかってくるのです。

これからの時代は、拡大していくのではなく、むしろ縮小して、濃密な経営を目指していくほうが上手くいきます。逆にまだ、拡大をしなければいけないと思い込んでいるようでは、これからも、厳しい時代は続いていきます。

特に小さな会社やお店は、拡大することで競争に巻き込まれていきます。拡大しないことにこそ、小さな会社やお店の生き残る道はあるのです。ここを忘れないでください。

押し寄せるブティック化の波

これからは、あらゆるところで、ブティック化の波が起こってきます。ブティック化とは、小型の専門店化ということです。

これは、どういう事かというと、たとえば、ある一つの専門的なテーマで情報発信を行って見込み客を集めたとしても、それだけでは、売れなくなっています。

その見込み客を、さらに細分化して絞り込みを行い、ニーズにマッチさせる必要性があるのです。この時の、お客さんの購買動機は、どのような商品を買うかということ、誰から、どのような商品を買うかにシフトしていきます。

2016年に世界的に潮流が変わりました。これが、グローバリズムからの反転です。具体的には、これからの10年は、ブティック化の時代になります。これまでの、グローバル企業を中心にしていく社会の流れから、パーソナルブランドを中心にしていく小型専門店(ブティック)化の流れとなります。

狩猟型経営から農耕型経営へ

日本は、1997年以降実質賃金が下がり続けています。これで、お金を使えというのは到底無理な話で、どう見たって消費が縮小しています 。だから、とにかく値引きキャンペーンやって、お客さんに何とか購入して貰おうとどのお店も必死になっています。

消費者心理としては、とにかく慎重に物を選ぶようになります。ですから、広告を打って集客をする場合に
反応率が下がります。そうなると、利益を出すことがかなり難しくなります。

こういった時期には、どれだけリピート客を持っているか、ファン客を持っているかが鍵になります。
これまでのように、広告で集客し商品を売るだけの狩猟型経営では、立ち行かなくなります。

どれだけ、お客さんを育てファンを作っていくか?
ここにかかってきています。

つまり、農耕型経営をしない限り成り立たない時代になってきたのです。ぜひ、経営方針を、農耕型に切り替えていってください。

その為には、むやみに拡大を目指すのではなく、お客さんとの濃密な関係性を作ることが特に重要になっていきます。

これを実践するのが、スモールビジネス戦略であり、この「拡大を目指さない」というルールなのです。

お金の原理

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