ビジネスを敢えて大きくしないということ

スモールビジネスは拡大を目指さないほうがいい

これまでのビジネスの基本は、拡大し続けることでした。

それは「スモールビジネスは大金を集めない」の記事でも書いたように、ビジネスの目的とは、利益の追求であるという資本主義の基本理念を考えれば当然の帰結です。

ビジネスの目的は拡大することではない

なぜなら、利益を増やすにはビジネスを拡大する必要があるからです。しかし、この拡大するということは、一方で多くの問題をもたらします。拡大することで、固定費も拡大していき、損益分岐点が高くなり、必要な最低限の売上高が大きくなるのです。

市場が拡大しているときには、この問題は表面化しませんが、今の日本のように成熟した社会では、需要が拡大しませんから、結局過当競争になり、ディスカウント合戦が起きます。

日本のデフレの原因は、総需要の不足が原因です。つまり、あえてお金を使おうとする人がいないことにあります。もちろん、購買意欲を刺激できない売る側にも責任はありますが、それ以上に、国を含めてお金を使わないほうがいいというマインドに問題があります。

一般市民は、未来の給料が上がらないなら、節約しようとなります。だったら、国や自治体がまずお金を使う必要があるのですが、国民全体が国や自治体はお金を使うことを良しとしません。つまり、公共投資が悪であるというマインドに支配されているために、身動きが取れなくなってしまっています。

そうなると、企業は売る為に値下げに走ることになります。価格競争の結果は、最終的には強い1社だけが勝ち残るといった激烈な生き残りの争いに発展していくのです。

ビジネスを拡大することでリスクも拡大する

拡大してしまった会社の問題はそれだけではありません。拡大してしまったゆえに、変化ができにくいのです。

悪いことに、最近のインターネットの普及は、ビジネスの寿命を非常に短くしてしまっています。インターネットなどからの情報が安価で手に入るため、ライバルがすぐに参入してしまうのです。そのため、一つのビジネスの寿命がものすごく短くなってしまったのです。

ですから、どのような会社も次々と変態を続けていかなければ、生き残っていけない時代になっているのです。このような変化の激しい時代に、拡大をしていき、変化しにくいビジネスにしてしまうと、それが致命傷になっていきます。

そこで、スモールビジネスでは、あえて大きくしないという選択をしたほうがリスクを回避することができます。

もちろん、ビジネスによって必要な大きさはあります。コンビニにはコンビニに適した店舗面積がありますし、スーパーにはスーパーに適した店舗面積があります。同様に、どのようなビジネスであれ、それに適した大きささがあるのです。

多くの問題はこれを超えて無理に拡大しようとしたときに始まります。ですから、必要以上に拡大することは、かえって経営に問題を生じさせます。

バブル崩壊後に、日本の企業は、内需の縮小に伴い、海外へと進出し、世界市場へと目を向けていきました。
その為に、海外の企業を買収し、販路を求めて広げていったのです。その結果として、日本の経済を牽引していたはずの、シャープや東芝といった大企業は、悲惨な目に会っています。これが拡大を選んだ企業の行く末です。

あえて拡大を選ぶのではなく、それぞれのビジネスにあった大きさに止め、適正規模以上に拡大をしないという選択もあることをまずは理解してください。

拡大することで80%以上が失敗する

では、すでに拡大をしてしまった企業はどうしたらいいのでしょうか?

残念ですが、このような場合は、市場の拡大している場所に行くしかありません。今の日本で言えば、海外へのビジネス移転です。それが、現在は中国やアジアに企業が進出せざるを得ないという現実です。

中国は、既にそのリスクが表面化して、撤退していく企業が後を絶ちませんが、今後は、東南アジアやインドなどに、進出となっていくでしょう。

つまり、拡大をしていくビジネスは、結局、市場の拡大している(つまり人口が拡大し、需要が増大している)
海外へ進出し、激烈な競争を勝ち抜いていかなければならなくなるのです。これがグローバル資本主義の結論です。

さらに、組織運営の問題もあります。

従業員が5人以下くらいの小さな会社やお店だった時には、経営者はマーケティングや集客といった、直接、売上に結びつく仕事をしていればよかったのが、大きくなってくると人材育成や組織運営をしなければならなくなります。

スモールビジネスと、それ以上の小中規模企業とでは、実は経営の仕方が全く違うのです。

ここを理解しないままスモールビジネスを拡大し、中規模企業に変わる時、この組織運営能力が無いと、あっという間に行き詰ってしまうのです。

特に5人から10人以上の会社になる辺りで、80%近くの会社が失敗をする例が多くあります。その理由が、この組織運営に失敗することにあるのです。

拡大の果てに起こる価格競争

さらに、拡大を目指すと最終的に「価格競争」になります。

拡大して数字を追うと、どうしても多くの人にたくさんの商品を売ることになります。その為には、たくさん商品を作らなければいけません。営業マンを雇わなければいけません。いろいろな事務処理をする人も沢山雇わなければいけません。こうして、新しく工場を建てて多くの人を雇うことになります。

すると今度は、固定費が増大します。人件費が増え、光熱費が増え、固定資産税なんかも増えたりします。そうすると、もっと多くの売上が必要になります。もっとたくさんの商品を売らなければいけなくなります。

たくさんの商品を売る為には、まず価格を下げることになります。基本的に、価格を下げないとたくさんは売れないのです。これが落とし穴になります。

大半の商品は10%値下げすると、売上を2倍に伸ばしても利益は減少するのです。利益が減少するから、さらに沢山売る必要がでてきます。こうして、際限のない拡大が始まります。

結局のところ、安易な拡大戦略は、自らの首を絞めることになるのです。しかし、本当に恐ろしいことは、ここからなのです。

拡大すると商品価値の暴落が始まる

拡大戦略で、もっとも恐ろしいことは何か知っていますか?

それは、商品価値の暴落です。商品価格とは、「認知された価値」で決まっていきます。認知された価値とは、買っている人が、「その価値を払うだけの価値があると思っている」ということです。

もしあなたの作り出した商品が、多くの人が欲しい商品だったとします。しかし、それは、日本に1つしかありません。こうした場合には、価値は欲しいと思う人の中でもっとも高い金額となります。もし、どうしても欲しい人が二人いれば、価格は際限なく高騰していきます。

では、あなたはこの商品を同じ品質で大量生産することに成功しました。これで、日本に500万個供給できるとします。こうなると、価値はほとんどなくなります。おそらくその商品は100円ショップに並ぶことになります。

このように、数字を追いかけて「拡大路線」に進んでいくと、商品の価値が暴落していきます。これこそが、拡大戦略を取った時の最終的な帰結なのです。

だったら、最初から、敢えて大きくすることをせず、ビジネスを自分らしいサイズでとどめたほうが、失敗することなく、さらに、時代の変化にもついていける上、高利益率のビジネスを継続できます。

その上、自分らしいサイズに止めることで、ビジネスに対して情熱を持ち続けることもできるのですから、拡大を目指さないという利点は大きいのです。

もちろん、どちらを選ぶかは、経営者の自由です。

拡大して、No1の大会社を目指すのか?
拡大せずに、Only1のビジネスを目指すのか?

それは、あなたの考え方次第なのです。

お金の原理

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