小さな会社が生き残るには強小企業を目指せ

小さな会社が生き残るには強小企業を目指せ

小さな会社の戦略は、大企業の戦略とは全く違うものになる。さらに言えば、中企業の戦略とも少し違うことになる。ここを勘違いしてしまう経営者が多い。誰もが、自分の会社を弱小だとは思いたくないし、堂々と大企業と戦っていきたいと考えている。しかし、それでは確実に負ける戦いとなる。大企業が正攻法で行くのであれば、小さな会社やお店の取るべき戦略はゲリラ戦に特化するしかないのだ。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

資本主義の自由競争を甘く見てはいけない

私は、『気の経営塾』というコンサル塾を運営しているが、そのメンバーは、主に小さな会社や個人事業者、フリーランスなどである。これらの業種は、カテゴリー的に言えば従業員5人以下の小規模事業者ということになる。

中小企業が50~300人に対して、小規模企業者は、製造業で20人以下、商業・サービス業で5人以下となります。つまり、ほとんど個人事業の延長かフリーエージェントが中心ということになる。大企業と比べるべくもなく、圧倒的弱者なのが小さな会社である。

だから、小さな会社の戦略は、大企業の戦略とは全く違うものになる。さらに言えば、中企業の戦略とも少し違うことになる。ここを勘違いしている経営者が多い。誰もが、自分の会社を弱小だとは思いたくないし、堂々と大企業と戦っていきたいと考えている。しかし、それでは最初から負ける戦をすることになる。

現代社会は、徹底的な資本主義社会だ。資本主義社会の特徴は、自由競争社会であるということである。しかし、この自由競争社会ということを簡単に考えてはいけない。自由党響きにいい言葉に騙されてはいけないのだ。

世の中のすべてのゲーム、すべてのスポーツは、参加者全員が、まず最初に対等の状態になることからスタートする。カードゲームでは同じ枚数が配られるし、駒は同じ数の駒が配られる。スポーツでも対戦人数は同じ数で始められる。

カードゲームでは、一方が30枚でもう一方が5枚のような、圧倒的な不平等でのゲームはあり得ない。将棋でも、一方が飛車角1枚ずつで、一方が飛車角が5枚あるというのもあり得ない。サッカーでも、一方が5人で一方が20人ということもありえないだろう。

ゲームやスポーツでは、競争を成り立たせるために、両者の差をなるべく平等にするという配慮があり、さらにフェアプレイも要求される。だから、私たちは自由競争社会について、悪いイメージは持っていないのだが、現実のビジネスの世界はそうではない。

ゲームやスポーツとはまるっきり逆なのである。両者の差を同じにするという配慮はゼロである。しかも、フェアプレイも求められていない。その結果どうなるのかは誰でも想像がつくはずだ。

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小さな会社は99.99%が敗者となる

ましてやビジネスの世界は、平等なスタートなど用意されていない。ちっぽけな資本の個人が巨大な企業と戦わなければならない世界だということだ。

時には、ちっぽけな存在がアイデアと思い切りの良さで勝ち上がるという話を聞くのは痛快ではあるが、通常は巨大な権力や巨大な資本を持った存在は勝ちやすく、小さな資本は圧倒的に負けやすいのは誰が考えてもわかるはずだ。

そして、競争相手となる企業というのは往々にして超巨大資本になる。超巨大資本と個人が戦った場合99.9999%は、超巨大資本が個人に勝つことになる。

業種によってライバルになる大手企業は違ってくるが、仮に日本においてさえ、情報産業で戦おうと思ったらソフトバンクという売上6.1兆円の企業がライバルになるし、ファッション分野で戦おうと思ったらユニクロの親会社ファーストリテイリングという売上2兆円の企業がライバルになることになる。

小さな会社は、なんとか巨大資本が進出しないニッチを必死で見つけて、そこで勝負するしかないのだが、そのニッチが大きな分野に育てば、大手がそれを買収するか競争を仕掛けて市場を奪い取ってしまう。

さらに、社会のグローバル化が進んで行けば、競争相手としてさらに巨大なアップルやマイクロソフトという超巨大多国籍企業とも戦わなければならない。

こうした、最初から競争にもならないような競争という名の収奪が繰り広げられているのが、私たちが今いる資本主義社会の経営環境であり、圧倒的強者が常に勝利していく社会なのである。

小さな会社は99.99%が敗者となる

小さな会社はゲリラ戦で戦うしかない

あなたの会社が、小さな会社であるのなら、ビジネスのやり方を間違えてはいけない。たいていの場合、大手や中堅企業の真似をしてしまうと、確実に負ける戦いとなる。

大企業が正攻法で行くのであれば、小さな会社やお店の取るべき戦略はゲリラ戦をするしかないのだ。ゲリラ戦と言ってもわかりにくいので、言い換えると、徹底的な顧客密着こそが重要なキーとなる。

小さな会社の経営において、取り入れてほしいのは、『スモールビジネス戦略』だが、この戦略の中に、無理な拡大を目指さない(価格競争をしない)というものがある。そもそも、小さな会社においては、どうしても対応できる市場が小さいという問題がある。そして市場が小さいと当然売り上げも少なくなってしまう。それなのに拡大するなと言われると、なかなか納得しがたいものがある。多くの社長が「スモールビジネス戦略」の話を聞いて戸惑うのはココの部分だ。

はたして、それでビジネスが上手くいくのだろうか?
そう考えてしまう。

そうして、ついよく目にする大企業と同じような戦略を取り、敗者への道を転がり落ちていくことになる。

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Generations Value (複数世代価値)

『スモールビジネス戦略』においては、市場を捉えるときに、面積ではなく時間をその中心に置く。言い換えれば面積のマーケティングではなく、時間軸のマーケティングである。

面積をマーケティングの中心に置くと、資金力の大きい方が有利に働く。広告費などの物量に圧倒的な差があるからだ。しかし、時間軸を中心に置くと、短期的利益を求める大きな会社ほど、対応しにくくなるのだ。

どれだけの市場やニーズがあるかではなく、お客の一生において、どれだけ自分の商品を購入してもらえるかにフォーカスするのだ。つまり、これまでが3次元(空間)のマーケティングであったものが、4次元(時間軸)のマーケティングを目指すということである。

多くの人にどう気に入られるかではなく、一部の人で良いので、長期にわたって(一生涯、できれば何世代にもわたって)商品を繰り返し購入してもらう。これが、『スモールビジネス戦略』のマーケティングの核である。

Life time Value (生涯価値)という言葉を聞いたことがあるだろう。『スモールビジネス戦略』では、それを、さらに広げて考える。つまり、Generations Value (複数世代価値)として考えるのだ。当然、その結果としてビジネスのやりかたは、大きく変化することになる。

つまり、お客に複数回どころか、世代に引き継がれて商品を購入してもらう。そうしたビジネスを目指すのである。もちろんそれは、楽な事ではないだろう。しかし、現実にこれまでの日本には、こういったお店はたくさんあったのだ。

親の代からお世話になった店・・・
あなたの周りにも、こういう店が存在したはずだ。

小さな会社が生き残るために目指すべきなのは、こうしたビジネススタイルなのだ。

Generations Value (複数世代価値)

小さな会社は強小企業を目指せ

日本には、現実に、長続きしている会社が多くある。数百年程度の歴史の企業はざらで、東京商工リサーチによれば、100年以上存続している企業は15,000社を超え、個人商店まで含めると10万社以上になる。世界最古の会社と言われる金剛組は1500年以上続いている。

しかも、これらのほとんどが、グローバル企業ではない。老舗と言われるところは、拡大を選ばずに継続を選んだ会社なのだ。そこには、自分の仕事に対する確固たる自信と信頼がある。

ある意味、『スモールビジネス戦略』は、いたって日本的な、いやそれどころか、日本独自のものといっていい戦略なのである。

小さな会社の経営で目指すことは、単にお金を稼ぐことではない。どうやって、生涯にわたって、あなたとあなたの会社を支持してくれる、そうしたお客を作り出すかということにある。これが小さな会社が中心とすべき『スモールビジネス戦略』となる。これまでのような、市場シェアといった「3次元」から時間軸を中心にした「4次元」にビジネスをシフトすることが求められるのである。

さらに言えば、『スモールビジネス戦略』というのは、決して弱小のビジネス戦略ではない。マイナスイメージのほうが大きく感じられるかもしれないが、『スモールビジネス戦略』とは、独自の差別化をすることで強小企業を作っていくというものである。

一人だけのビジネスでも構わないし、数人から十数人の規模でもいい。自分の強みに特化することで、競争の起きにくいビジネスを目指すことである。

小さいけど強い会社、
小さいけど圧倒的にお客に支持される会社
小さいけど誰かに話したくなる会社

そんな会社を目指すことが、小さな会社の進む方向なのである。

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